【獣医師が教える】狂犬病予防接種は打たないといけないか?

予防関連

こんにちは!院長です^^

今回のテーマは【狂犬病予防接種は打たないといけないか?】です。

この記事で分かること
  • 狂犬病予防接種をしない場合どうなるか
  • 狂犬病予防接種を受けなくても良い場合があるのか
  • 狂犬病が発生した場合どうなるのか

狂犬病予防接種について理解を深めましょう。

そもそも狂犬病とはどんな病気か

ラブドウイルスというウイルスに感染することで発症する病気で、ヒトを含む全哺乳類が感染しうる病気です。

日本国内では1956年を最後に発生していませんが、海外で感染してその後に国内で発症したケースは何例かあります。

全世界では毎年5~6万人が亡くなっている病気で主に感染している犬に嚙まれることで感染しますが、コウモリやネコなどからも感染することがあります。

感染して数か月後に発症してしまうのですが、発症してしまった場合はほぼ必ず死亡します。

70年近く日本国内で発生していないだけで、発症したら必ず死ぬ病気が世界では現在でも発生しており毎年5~6万人のヒトが死んでいるのです。

狂犬病予防接種は受けないといけないのか

厚生労働省のホームページには以下のように書いておあります。

  1. 「狂犬病予防法」(昭和25年法律第247号)に基づき、91日齢以上の犬の所有者は、その犬を所有してから30日内に市町村に犬の登録をし、鑑札の交付を受けるとともに、狂犬病の予防注射を犬に受けさせ、注射済票の交付を受けなければなりません。
  2. 日本国内には狂犬病の発生はありませんが、近隣諸国では狂犬病がまん延しており、日本への本病の侵入リスクは皆無ではありません。犬を飼われている方は、社会に対する責務として、犬の登録と年1回の狂犬病の予防注射を必ず行ってください。
  3. 狂犬病は全ての哺乳類に感染しますが、まん延の原因となる動物は限られており、アジア地域等、狂犬病の流行国では、犬が主なまん延源となっています。従って、飼い犬に狂犬病の予防注射を接種することで犬でのまん延が予防され、人への被害を防ぐことができ、日本でも万が一狂犬病が侵入した場合に備えて、飼い犬への狂犬病予防注射を義務づけています。
    犬を飼う人の義務ですので、毎年1回、必ず飼い犬に狂犬病の予防注射を受けさせましょう。

要するに法律で決まっているから打つ必要があるということです。

注射を怠った場合には20万円以下の罰金刑が科される場合があるほか、未接種犬が咬傷事故等をおこした場合は飼い主の責任が問われます。

日本国内で狂犬病が発生した場合はどうなる?

  • 発生地域では犬を常にロープなどで繋いで口輪をして飼うように命令が出ます

噛みつかないよう口輪を装着させ、自由に放し飼いをしてはいけない状況になります。従わない場合は都道府県知事の命令で殺処分の対象となります。

  • 狂犬病の一斉検診が実施されます

地域のすべての犬に狂犬病にかかっていないかの検査が行われます。我々獣医師側からすると命がけの仕事です。万が一にも感染発症したら100%死にますからね。

  • 交通制限や移動制限がなされる

発生地域からウイルスが広まらないように移動制限がかけられます。

 

あとは勝手な想像ですが、

狂犬病予防接種を受けていないまま飼っている犬が発生源になってしまったら、その飼い主のことがネットで拡散されて甚大な社会的制裁を食らうと思われます。

狂犬病予防接種を受けていないと警察につかまるのか?

実際には狂犬病予防接種を受けていないからといって警察に則逮捕されるわけではありません

しかし、

  • 悪質に狂犬病予防接種を回避する
  • 未接種の犬を脱走させる
  • 未接種の犬が咬傷事故を発生させる

こういった場合は狂犬病予防法違反で刑事罰を受ける可能性が十分にあります。

2024年2月に群馬県伊勢崎市で狂犬病の予防接種を受けさせていない四国犬が脱走して小学生を含む12人にかみついてけがをさせた事件がありました。

上記のケースでは飼い主は過失傷害と狂犬病予防法違反の容疑で書類送検されています。

狂犬病予防接種を受けなくても良い場合はあるのか

犬に健康上の問題があり獣医師の判断で接種を延期する場合がありますが、生涯にわたって打たなくても良くなったわけではありません。

決して飼い主の自己判断では接種を見送ることはできません。

狂犬病予防法には狂犬病予防接種の免除に関して記載された文章はありませんので、あくまで診察した獣医師がその時点での接種を避けただけで打たなくても良い法的根拠は存在しません

基本的には1年に1回、健康状態が良好な時に接種しなければならないのです。

『狂犬病予防接種免除証明書』といった書類は公的な書類ではありませんのでご注意ください。

まとめ

現在は集団免疫(全体の70%程度が予防接種をしていれば病気が流行しないという考え)によって国内での狂犬病発生は起きていませんが、接種率は年々低下しておりますのでいつか再発生する可能性は十分にあります。

狂犬病予防接種は法律で定められているので犬を飼う場合に必須のワクチンです。

怠った場合に警察に即捕まることはないかもしれませんが必ず接種するようにしましょう。

 

 

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