【獣医師が教える】犬猫が誤食した際にどうやって吐かせる?

アドバイス編

こんにちは!院長です^^

今回のテーマは【犬猫が誤食した際にどうやって吐かせる?】です。

この記事で分かること
  • ペットが誤食した場合に動物病院で行う対応
  • 誤食が疑われた場合の飼い主の方が行うべき対応

ワンちゃんネコちゃんが誤食した際の参考にしてみてください。

誤食してはいけないもの

代表的なものを列挙していきます。(これがすべてではありませんのでご注意ください)

  • ねぎ類
  • チョコレート
  • ぶどう、レーズン(特に犬)
  • アボカド
  • ユリ(特に猫)
  • キシリトールガム(特に犬)

食べ物以外でよくあるパターンでは

  • つまようじ
  • ティッシュ
  • チキンなどの骨
  • おもちゃなどのプラスチック片
  • 毛布やタオル
  • ひも類
  • 豆電池

自宅で誤食を発見した時

  • 目の前で飲み込むのを見た』『誤食したのが1~2時間以内であると推測される

こういった場合は吐かせることができる可能性が高いのですぐ動物病院を受診することを勧めます。

ただし、以下の場合は吐かせられないことがありますので注意してください。

  1. 誤食したものが鋭利な物体(つまようじなど尖っているもの)
  2. 食道粘膜を傷つける物質が含まれるもの

 

  • 誤食して3~4時間以上経過している』『誤食したのがいつか分からない

こういった場合は時間が経ちすぎていて、吐かせる処置をしても吐かせたい物体が出てこない可能性が高まります。

※時間経過している場合は獣医師と飼い主の間で相談をして、誤食した直後よりは確率が低いが吐かせる処置をすることもあります。

 

どちらの場合でも誤食を発見した時は電話で動物病院に問い合わせるか、実際に誤食したものと同等のものを持参して動物病院を受診するようにしてください。

吐かせる処置の内容

診察をして吐かせる処置をした方がよさそうであると判断した場合は吐かせる準備を行います。

犬の場合

犬の場合は処置によって8~9割くらいの確率で嘔吐してくれますので、目的としている異物を吐かせられる可能性は高いです。

  1. 血管に注射液を注入するためのルートを確保する
  2. トラネキサム酸を血管内に注入する

トラネキサム酸は本来は止血を目的に使用する薬剤ですが、多めに使用すると嘔吐するという副作用がありますのでそれを利用しています。

薬液を注入するとおおよそ数分以内に嘔吐しますので処置は10分程度で終わることが多いです。

※副作用として1%程度の確率で痙攣発作を起こすと言われています。

 

猫の場合

猫の場合は処置によって嘔吐する確率が3~4割くらいなので、目的としている異物を吐かせられない可能性がすこし高いです。

  1. メデトミジン(鎮静剤)を筋肉注射する

メデトミジンは外科処置などの際に鎮静鎮痛を目的に使用する薬剤ですが、嘔吐するという副作用がありますのでそれを利用しています。

上手くいくと5分程度で嘔吐してくれるのですが、失敗するとそのまま鎮静剤が効いて寝てしまいます。

吐かなかった場合はどうするか

  • 経過観察をする

なんかしらの症状が出る可能性もありますが、そのまま何事もなく排泄(代謝)される可能性もありますのでそのまま様子を見ます。

ただし経過観察をした際に危険が予想される場合は他の処置をしますので、獣医師の指示に従う必要があります。

※以下は基本的に麻酔が必要な処置となります。

  • 内視鏡検査を実施する
  1. 吐かせる処置に失敗したが異物が胃の中にある可能性が高い
  2. 異物が食道などを傷つける恐れがあり吐かせる処置が困難
  3. 開腹しなくても内視鏡で摘出できる可能性が高い

こういった条件の場合に内視鏡を実施します。

  • 胃洗浄を実施する(誤食したものが食べ物の場合)
  1. 吐かせる処置を実施したが目的とした物体がほとんど出なかった
  2. 胃内にある物質が中毒量に匹敵すると思われる
  3. 毒性が高くわずかな量でも中毒の危険性がある

こういった条件の場合に胃洗浄を実施します。

  • 開腹手術を実施する
  1. 内視鏡での摘出が困難
  2. 経過観察をすると危険な可能性が高い
  3. すでに異物が腸に詰まって腸閉塞になっている

こういった条件の場合に開腹手術を実施します。

 ウェットティッシュを誤食して腸閉塞した症例

誤食で起こるかもしれない症状

  • 嘔吐

食べ物以外の誤食で腸閉塞が起きてしまったり中毒が起きると嘔吐がよく起こります。

特に腸閉塞した場合は頻回に嘔吐(嘔吐しようとするが吐物が出ないこともよくある)しますので注意してください。

  • 下痢

中毒を起こして腸炎が起きたりした場合に起こります。

  • 元気食欲低下

腸閉塞や中毒を起こした場合は元気がなくなり食欲が低下してしまいます。

レントゲン検査で誤食は分かる?

金属』『電池』『』こういったものはレントゲン検査で写りますので誤食したかどうかは比較的簡単に分かります。

しかし『食べ物』『紙類』『木材』『布類』この辺はレントゲン検査でははっきりと分からないので、検査では診断できない場合が多いです。

もしも誤食した異物がレントゲン検査に写りそうなものであれば検査してみると良いでしょう。

まとめ

誤食が疑われる場合に飼い主の方がやってはいけない行動は『とりあえず様子見る』だと思います。

筆者は異物が原因で腸閉塞を起こして腸が壊死してしまい亡くなった症例も経験しています。

誤食が発覚した場合はひとまずはかかりつけの動物病院に相談してみましょう。

 

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