こんにちは!院長です^^
今回のテーマは【猫用の食欲増進薬エルーラ】です。
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エルーラがどんな薬なのか
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エルーラのメリット デメリットを知ることができる
エルーラの発売は2024年11月らしいので現段階の情報をお届けします。
エルーラはどんな薬?
エルーラは猫用のお薬で『慢性疾患の猫の体重を維持・増加してくれるお薬』となっています。
簡単に言うと食欲増進作用があるお薬ですね。
有効成分は『カプロモレリン』でグレリン受容体作動薬として働きます。
『慢性腎臓病』『甲状腺機能亢進症』『心不全』『がん』などの慢性疾患ではこれらの病気の影響で徐々に体重が減っていく場合があります。(こういった病態を悪液質と呼びます)
悪液質では代謝異常が起きて脂肪ではなく筋肉が減少しますので、猫にとっては深刻な体重の減り方が起きていることになります。
悪液質(体重減少)が起きている猫は『体力低下』『免疫機能低下』『創傷治癒能力低下』などが起きてしまい、悪液質ではない猫と比べて生存期間が短くなってしまうことが分かっています。
悪液質を防ぐには『食欲増進』や『代謝異常改善』が必要となるのですが、エルーラはこれらの問題点に作用してくれて体重を維持・増加してくれるお薬になっています。
海外の臨床試験ではエルーラによって慢性腎臓病の猫の体重が増加することが科学的に認められており、約8割の猫ちゃんで体重維持・増加に成功したと報告されています。
今回のお薬は日本において猫用に認可の取れているお薬ではありますが、海外では同じ成分で犬に認可が取れている製品もあります。(薬用量は猫と異なります)(自身の判断での犬への使用はお控えください)
今後は犬用製品も発売されたり、同製品が犬にも認可がおりるかもしれませんので期待しましょう。
エルーラの投薬方法
エルーラは液体状のお薬になっていて、付属の注射器で吸って与えるようになっています。
猫用の液体状のお薬は多く存在しますし、それらと同様に投薬は比較的簡単な方だと思われます。
体重1kgあたり0.1mL(5kgなら0.5mL)を1日1回与えるようになっています。
エルーラのデメリット
- よだれ
発売前のおくすり故に筆者も使用したことがありませんので実際にどれくらいのよだれなのかは分かりませんが、20%くらいの割合でよだれがでるようでした。
おくすりの苦みや気持ち悪さからよだれが出るわけではなく、作用機序の関係でよだれが出てしまうみたいなので大きな心配は必要なさそうです
- 血糖値上昇
これも作用機序の関係で一時的な血糖値上昇が認められるようです。
血糖値上昇の程度は次第に弱まり、最終的にはほとんど上昇しなくなるようです。
糖尿病にかかっている猫での臨床試験はしていないようなので、糖尿病でも安全に使用できるのかは今後の論文等で議論されるところでしょう。
- 嘔吐下痢
嘔吐下痢みたいな消化器症状が起きるかもという注意書きは多くのお薬に書いてありますので、合わない場合は吐くかも下痢するかもくらいに思ってよいでしょう。
エルーラへの期待
これまでの獣医療では食欲増進剤として『ミルタザピン』が多くの場合は用いられてきたと思いますが、ようやく動物用に作られたお薬が出てきました。
『ミルタザピン』は食欲増進作用しか期待できませんが、『エルーラ』は食欲増進作用に加えて代謝改善を行ってくれますので筋肉量の増加がより期待できるのではないでしょうか。
筆者も早速卸業者さんに予約注文をして納品を待っています。
発売開始されて患者様に処方した後の感触などはまた後日記事にしようと思いますのでお楽しみに。
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