【獣医師が教える】猫の便秘

消化器疾患

こんにちは!院長です^^

今回のテーマは【猫の便秘】です。

この記事で分かること
  • 便秘の時の主な症状
  • 便秘の解決方法

たかが便秘と侮るなかれな回となってますので最後まで読んでみてくださいね。

便秘の時の症状

猫の便秘とはどのような状態を指すのでしょうか。

教科書で猫の便秘を排便回数で定義したものはなく、『排便回数の低下および排便困難、残便感』と書かれています。

一般的な症状は以下のようなものが多いと思います。

  1. 便が2~3日以上出ないことがよくある
  2. 排便時に時間がかかっている様子がある
  3. 便に水分がなく非常に硬い
  4. 排便時に嘔吐することがある(力み過ぎによる)

便秘の原因

  • 構造的異常による便の通過障害

最も多いのは骨盤骨折が原因で骨盤が狭くなってしまい便が通過しにくくなります。

  • 神経圧迫による痛み

腰骨の変形によって神経が圧迫されることで排便時に痛みが生じてしまいます。

  • 自律神経の乱れ

副交感神経の働きが低下してしまい腸の動きが悪くなることで起こります。

  • 排便の我慢

トイレに対するストレスなどが原因で排便を我慢してしまい慢性便秘になります。

 

猫の場合は慢性便秘の結果、結腸が拡張して動きが悪くなり更なる便秘を誘発してしまう『特発性巨大結腸症』という病気があります。

特発性巨大結腸症は上記の異常が複合的にかかわることで起こると考えられていますので、たかが便秘と思って放っておくと取り返しのつかない便秘症に陥る場合がありますので注意が必要です。

便秘の時の治療法

  • 浣腸

肛門から温かいお湯などを注入して便を柔らかくし排便を促す方法です。

直腸内に指を入れたりお腹を軽く圧迫してあげて便を掻きだす場合もあります。

人手が必要な処置になりますので週に2~3回程度は処置が必要でしょう。

  • 食事療法

ロイヤルカナンの『消化器サポート可溶性繊維』というフードが慢性便秘症の猫に最も多く処方されているフードだと思います。

サイリウムという食物繊維が豊富に含まれており、便がスムーズに出ることに役立ってくれます。

  • 下剤の内服

筆者は『ラクツロース』という下剤を内服してもらって便の出具合を確認してもらっています。

  • 痛み止めの内服

排便時に腰の痛みから大きな声で鳴いていると思われるときは痛み止めを使用する場合があります。

 

筆者はほとんどの場合は『消化器サポート可溶性繊維』と『ラクツロース』の組み合わせでまずは治療することが多いですが、ほとんどの症例はこの治療で一定の改善が認められます。

もしも飼い主宅の猫のトイレに問題がありそうな場合は筆者はトイレに関する指導も行います。

過去にトイレに関する記事をまとめていますので下記を参照にしてみてください。

【獣医師が教える】猫のおすすめのトイレ | 動物病院経営獣医師のつぶやき (veterinarytweet.com)

まとめ

基本的に便秘は2~3日で解決するわけではありませんし、治療を続けてあげないと再び便秘になってしまうことが多いです。

誤った使い方をすると危険ですので療法食や下剤は必ず動物病院で診察を受けてから処方してもらうようにしましょう。

 

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