【獣医師が教える】犬の混合ワクチン

予防関連

こんにちは!院長です^^

今回のテーマは【犬の混合ワクチン】です。

この記事で分かること
  • ワクチンの選び方や接種頻度の目安
  • ワクチン副反応に対する予備知識

ワンちゃんのワクチン接種に関するリテラシーを高めてください。

混合ワクチンって何?

混合ワクチン』は飼い主が接種を決める任意ワクチンを指します。

犬のワクチンは大きく分けて『狂犬病ワクチン』と『混合ワクチン』に分かれており、混合ワクチンは更に『コアワクチン』と『ノンコアワクチン』に分かれます。

『狂犬病ワクチン』は狂犬病予防法という法律がありますので日本国内で犬を飼うのであれば必ず接種させる必要があります。

『混合ワクチン』は任意のワクチンですので打つかどうかは飼い主の判断に委ねられています。

また、混合ワクチンは世界小動物獣医師会のガイドラインである『犬と猫のワクチネーションガイドライン』で重要度によって【コアワクチン】と【ノンコアワクチン】に分類されています。

コアワクチン』は致死率が高く重要な感染症ですのですべての犬が接種するべきワクチンです。

ノンコアワクチン』は感染リスクが低かったりその地域に発生がない場合は接種する必要性は低いとされているワクチンです。

混合ワクチンの種類

混合ワクチンは1種~10種まで様々なものがあります。

※犬コロナウイルスは犬において病原性を示す十分な証拠がないため、世界小動物獣医師会のガイドラインでは非推奨と分類されています。

 筆者が扱っているワクチン

1種、2種、3種は仔犬に使用するのがメインで、成犬にはあまり使用しないのかなと個人的には思っております。

混合ワクチンの選び方

これだけ種類があると何を基準に選べばよいのかよく分からないと思います。

以下は筆者が思う一つの基準ですので参考にしてみてください。

  • 通常のワンちゃんは5種、6種で十分

一般的な住宅で室内犬として飼育しているのであれば5種混合、6種混合で十分でしょう。

近所の散歩や時々の遠出、サロンやペットホテルへかかるのにも事足りると思います。

犬コロナウイルスはガイドラインでは非推奨と分類されていますので、不要なものを取り入れたくない方は5種を選ばれると良いです。

  • 河川に近い地域に住んでいたり川遊びなどのアウトドアをワンちゃんと楽しみたいなら7~10種

7~10種は5種、6種混合ワクチンに『レプトスピラ』が混ぜてあるワクチンになります。

保菌動物の尿を含んだ土壌や水に接触することで感染するのですが、河川敷を散歩コースにしていたり旅行先で川遊びをしたりすると感染リスクが高いとされています。

住んでいる地域によっても発生数が異なりますのでお住まいの動物病院に問い合わせると良いと思います。

ワクチンを接種する頻度

  • 仔犬は3~4週間おきに3回接種する

仔犬は抵抗力が低いので混合ワクチンを複数回接種することが望まれます。

世界小動物獣医師会が推奨するワクチン接種スケジュールの1例としては8週齢、12週齢、16週齢での接種が示されています。

  • 成犬は1年に1回、もしくは3年に1回

仔犬の3回接種を済ませた後は1歳時で追加接種を行い、その後は『コアワクチン』は3年に1回『ノンコアワクチン』は1年に1回接種が推奨されています。

しかし、全てのノンコアワクチンだけが入っているワクチン製品は存在しないため、ノンコアワクチンを1年に1回接種する場合はコアワクチンも接種することになります。

なのでガイドラインに沿って考えると

  1. コアワクチンを予防することを目的とする場合は3年に1回接種する
  2. ノンコアワクチンを予防することを目的とする場合はコアワクチンも接種することになるが1年に1回接種する

こう考えるのが合理的でしょう。

ですが、、、

実際のところは本当の意味で予防を希望しているわけではなく、トリミングサロンやドッグランの利用に必要なので接種している飼い主様も多くいらっしゃいます。

こういったケースでは多くの場合は1年以内の接種証明書を求められますので、1年に1回接種させるようにしてあげてください。

 

  • ワクチン抗体価検査

ワクチンの効果が無くなっていないか調べたい、ワクチンをやみくもに打ちたくはないといった方には抗体検査を受けることを勧めます。

コアワクチンの抗体検査であれば外部の検査センターに依頼できますので、筆者は希望される患者様には積極的に勧めています。

抗体が十分にあるのであればワクチンを打たなくてよいですし、不十分であれば納得して接種することができます。

高齢なワンちゃんは混合ワクチンは不必要?

年齢によって接種をするかどうかの判断はしないほうが良いでしょう。

  1. トリミングサロンやペットホテルをよく利用する
  2. ドッグランなどワンちゃんが多く集まる場所を利用する
  3. 複数頭のわんちゃんを飼育している
  4. 毎日散歩をしていて近所の公園などを利用する

こういった場合は高齢であっても混合ワクチンを接種することを勧めます。

高齢なワンちゃんは抵抗力が低いので、若くて元気なワンちゃんよりワクチンを接種する意義はあるのではないかと思います。

(新型コロナウイルス感染症が流行していた頃にコロナワクチンを高齢者から優先して接種させてもらえたのが良い参考例です)

ワクチンの副反応

ワクチンの副反応の原因は、ワクチン製剤に含まれている『牛血清』や『ゼラチン』と考えられています。

『牛血清』はワクチン株の増殖に必要な栄養素などを含んでおり、ヒト用のワクチンにも使用されている成分です。

混合ワクチン接種で起こる副反応は主に以下のようなものがあります。

  1. 顔面の腫れ
  2. 嘔吐・下痢
  3. じんましんの様な赤み

これらは接種後4時間~48時間程度で起こるとされています。

上記のような副反応が起きた場合はすぐに動物病院を受診して、副反応に応じて処置をしてもらってください。

嘔吐・下痢の副反応でも死亡してしまった例が報告されていますので注意が必要です。

 

また、急性に起こる致命的な副反応としてアナフィラキシーというものがあります。

  1. 血液循環が悪くなり最悪の場合は心停止してしまう
  2. 気道が腫れて塞がってしまい呼吸ができなくなる

このような生命活動に重大にかかわる症状が、接種後30分以内に起こることが多いとされています。

もしもアナフィラキシーを起こしている場合は迅速な救命処置が必要になりますので、可能であれば接種後は待合室で待機してしばらく様子を見てあげてください。

もしも接種直後に以下のような症状が現れた場合は直ちに動物病院スタッフに声をかけるようにしましょう。

  1. 呼吸をしていない、もしくは呼吸が苦しそう
  2. 自力で立つことができない、もしくはふらついている
  3. 口の中の粘膜が真っ白になっている

アナフィラキシーが起きてしまった場合に助かるかどうかは、救命処置をいかに早く施せるかどうかにかかっています。

ワクチンの副反応のことを予備知識として飼い主の皆さんは是非知っておいてください。

 

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