こんにちは!院長です^^
今回のテーマは【犬猫は痛みに強い?】です。
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犬や猫が痛がっているときのサイン
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痛み止めを使ってあげることのメリット
ワンちゃん、ネコちゃんも痛いのは嫌なので痛みについて考えてみてください。
犬猫は痛みを感じない?
答えは『NO』で、ワンちゃんもネコちゃんも痛みを感じます。
避妊・去勢手術のような日常的な外科手術でも、ワンちゃんネコちゃんは痛みを感じています。
事実、去勢手術の際に局所麻酔をした場合としていない場合では、手術中に必要な全身麻酔量に差が出ることが分かっています。
これはすなわち局所麻酔によって手術中の痛みの感じ方が減っているということです。
鎮痛剤の必要性
前項でも記述した通りワンちゃんネコちゃんは痛みを感じますので、手術の際、交通事故などの際、がんを患った際など様々な状況で痛みを感じます。
痛みを感じている状態が続くと、『心拍数の増加』『血圧の上昇』『呼吸状態の悪化』など様々な悪影響が起こります。
しっかり鎮痛剤を使用して痛みを取ってあげることで回復が早まったり、合併症の発生率を下げることが期待できます。
鎮痛方法
鎮痛方法には様々な方法、種類があります。
- 局所麻酔
神経の近くを穿刺して局所麻酔薬を注入しておくことで、その神経が支配する領域の痛みを軽減する方法です。
腕の骨折の手術の際に、脇の神経が集まっているところに局所麻酔薬を注入したりします。
- オピオイド
全身に作用する痛み止めのお薬で、『麻薬性』と『非麻薬性』に分かれています。
麻薬性オピオイドはモルヒネなどが有名で、鎮痛作用が強いので大きな痛みを伴う病気や手術の際に使用することが多いです。
- 非ステロイド性消炎鎮痛薬
多くの人が最も思い浮かべやすい痛み止めの仲間で、人用だと『ロキソニン』などが代表例です。
痛みを止めるだけでなく炎症を抑える働きもありますので、患部の腫れや熱も引かせてくれます。
- 抗体医薬
動物用製剤では1回の注射で約1カ月ほど鎮痛作用が持続し、急性の痛みではなく慢性的な痛みを和らげるのに向いているお薬です。
痛みに関係する信号が伝わりにくくする働きがあるお薬で、猫由来の成分で作られているので安全性が高いと考えられています。
それぞれの痛み止めには得意なこと不得意なことがありますので、痛みに関するご相談はかかりつけの獣医師に相談してみましょう。
痛みが持続的であったり、耐えがたいほど強い場合は『マルチモーダル鎮痛』が行われます。
マルチモーダル鎮痛とは作用機序の異なるさまざまな鎮痛薬や投与経路を組み合わせて使用することを指し、以下のようなメリットがあります。
- 相乗的な鎮痛効果を得ることができる
- 各々の投与量を少なくできる
- 副作用の軽減が期待できる
犬猫が痛がっているサイン
- じっとして震えている
痛い場合は活発に動くことはないですし、ブルブルと震えている場合があります。
- キャンと不意に叫ぶ
動いた時や抱っこしようと触った時に急にキャンと叫ぶ場合はどこか痛がっているかもしれません。
- 階段や段差の昇降を嫌がる
段差を昇り降りした際の衝撃が響きますので階段などを嫌がる場合があります。
- 脚をケンケンしてひこずっている
特にどこかの脚を痛めている場合はよく見られる症状です。
- 爪とぎをしなくなった
猫の場合は足腰の慢性痛があると爪とぎをしなくなります。
ワンちゃん、ネコちゃんは自ら痛みを訴えることは基本的にはありませんので、上記の症状を参考にして飼い主の方が気付いてあげることが大切です。
健康寿命を延ばそう
我々人間では寿命の延長に伴い、健康寿命を延ばすことの重要性が語られ始めてきました。
これはワンちゃん、ネコちゃんにも当てはまることですので、特に高齢期に慢性痛が少ない生活を送ってもらうことには非常に意義があります。
こういったケースでは急に痛がるというよりも、徐々に変化が起こりますのでしっかり観察して気づいてあげる必要があります。
これを機にワンちゃん、ネコちゃんの痛みについて考えてあげてくださいね。
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