こんにちは!院長です^^
第5回のテーマは【猫の甲状腺機能亢進症の治療内容と費用】です。
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甲状腺機能亢進症はどんな病気か
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甲状腺機能亢進症の治療内容
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甲状腺機能亢進症の治療が当院で実際にいくら費用がかかっているのか
飼っている猫ちゃんにこんなことありませんか?
👵「うちの〇〇ちゃん、今年で12歳になるんだけど最近2~3日に1回くらい吐いちゃうのよね。でも元気なのよ。ちょっと体重は減ったかもしれないけど、ご飯も食べるし猫じゃらしでも遊んでくれるし。年取ったから吐いちゃうのかしらねぇ?」
そのパターンは「甲状腺機能亢進症」かもしれません。(もちろん他の疾患の可能性もありますので、必ず獣医師の診察を受けてくださいね)
甲状腺機能亢進症はどんな病気か
甲状腺機能亢進症は高齢の猫でみられる病気の一つで、甲状腺が腫大化したり腫瘍化することで甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。
甲状腺機能亢進症は高齢の猫でみられることが多く、発症する猫の多くは10歳以上です。(犬での発症は稀です)
甲状腺はのどの近くに存在しており、甲状腺ホルモンは全身の代謝にかかわる働きをしています。
甲状腺機能亢進症の原因
甲状腺の細胞が異常に数を増やしてしまうことで起こります。
甲状腺が腫瘍化することが分かりやすいパターンですが、腫大化する場合の多くは過形成(甲状腺細胞が増殖してしまうこと)です。
甲状腺機能亢進症の主な症状
- 体重減少
- 活動性が上がる(時に攻撃的になることも)
- 嘔吐下痢
- 多飲多尿
- 毛並みの悪化
甲状腺機能亢進症の治療内容
- 抗甲状腺薬の投与
基本的には甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑えるお薬を内服する内科治療になります。
以前まではヒトの甲状腺のお薬を使用していたのですが、2021年に猫用の抗甲状腺薬が発売されたので現在は「チロブロック」というお薬を内服してもらっています。
当院にも現在4~5頭程度の状腺機能亢進症の猫が通院されていますが、すべての猫がこのお薬を使用しており現在良好に経過しています。
- 外科切除
甲状腺機能亢進症を起こしている原因が甲状腺の悪性腫瘍である場合や、内科的治療で効果が見られない場合などに外科手術が検討されます。
慢性腎臓病を併発している場合
甲状腺機能亢進症になってしまう猫は基本的に高齢なので慢性腎臓病を併発している場合が多く、併発している猫ちゃんは予後が悪い傾向があります。
甲状腺機能亢進症のみの猫の中央生存期間が1.6~5.3年に対して、慢性腎臓病を併発している猫は0.5~2年となっています。
なるべく早く病気に気づいてあげて(もしくは定期的な健康診断を受けて)早期に治療を開始することで、猫たちが元気に過ごせる期間が延びますので注意してみてください。
甲状腺機能亢進症の治療費用
では実際に当院に通院している甲状腺機能亢進症の患者にかかっている費用をご紹介します。
- ケース1 猫(5kg)
- 診察料 660円
- 内服薬 5280円
- お薬処方料 330円
- ケース2 猫(4kg)
- 診察料 660円
- 血液検査費用 6600円
- 内服薬 5280円
- お薬処方料 330円
甲状腺機能亢進症の場合は1カ月に1度程度の通院頻度が多いですが、慢性腎臓病を併発している場合は毎週点滴通院が必要なこともあります。
最後に
内服をきちんと続けていれば通常の猫ちゃんと同じように生活ができる病気です。
上記に当てはまる症状がある場合は、動物病院で検査を受けてみてください。
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